周りにアパート、マンションや戸建て住宅が混在している古い住宅街の40坪の敷地に建つ小住宅である。将来的に隣地にマンションが建つことが予想されるため、敷地の中である程度のプライバシーを確保しながら、外部空間と内部空間が融合することを考えた。光を取り込むために2階に居間、食堂、台所とつなげたオープンな空間を設け、ガラス屋根のかかるテラス、そしてオープンなテラスと続き、外部階段で庭とつながっている。それらを媒体にして自然を取り込む構成となっている。
北海道としては敷地が小さく、間口は狭いが細長く伸びた敷地の奥へ続いていくプランを意図した結果、伸びやかな空間構成となった。それぞれの空間の単位は小さいが、空間のつながりをうまくつくることで、空間の広がりやのびやかさを出している。テラスや庭の周りには板壁や木ルーバーが設けられ、木ルーバーを通して光や風が入る柔らかな空間をつくり、なおかつプライバシーを確保している。1階を鉄筋コンクリート造の外断熱構造とし、2階は木構造とした混構造を採用した。コンクリートの床、壁、天井は熱容量が大きく、温度変化の少ない個室環境を作り出している。2階はコンクリートの床スラブに床暖配管を布設し、さらに太陽光の恩恵も熱にかえ蓄熱させ冬の室内環境を快適にしている。 小さいながらも豊かな内部空間と外部空間を持った作品となった。
「住宅建築」2000年10月号掲載 |