敷地は、北海道の開拓前の森の姿を残す野幌原生林に隣接する閑静な住宅街にいちする。北海道では一般的な広さの60坪の敷地の中に、冬の快適性を確保するために2階居間プランを採用した。明るいのびやかな居間・食堂の一郭にあるコーナー窓からは原生林を望めるようにし、周りのすばらしい環境とのつながりを大切にした。料理が得意で友人とワイワイ楽しむことが好きな奥さんのためにオープンな台所を中心として空間を構成し、ガラス屋根のかかるテラス越しに外部とつながっている。さらに、気持ちのよいテラスに面して浴室も配置されている。1階はブロックの外断熱ダブル積みとし、ブロック部分の小さな単位の寝室群とは反対に2階の木造部分はオープンな構成とした。1階を部分的に床レベルをさらに下げることで天井高をとり、子供室のロフトや、ラダーでのぼる納戸を確保した。
住宅のような人の手が直接触れる空間では、素材そのものの質感を常に大切にして構成している。この住宅では木造部分の天井は構造材である梁や構造用合板を現しにし、壁はプラスター塗、床はナラ三等材のフローリングとしている。ブロック部分は天井がコンクリート打放し、壁がブロック素地のまま、床はナラ三等材のフローリングとした。床暖房は、1・2階床がコンクリートスラブであることの有利さを活かし、スラブに直接床暖パイプを打ち込んだ床暖房だけのシステムとしている。
本物の素材を活かしたのびやかな空間を持つ住宅となった。 |