敷地は北側と西側が道路に接する角地で140坪と恵まれた広さを持つ。北入りの敷地ではあるが、道路からの引きを作り出すため、軽やかな下屋をかけて雪の処理をしたアプローチ空間を設けた。1階はコンクリートブロック外断熱ダブル積みで熱容量を高め、それを覆うように下屋と2階を木造としている。玄関は壁と屋根をガラスとしたサンルーム的な土間とし、太陽光(光・熱)を集める空間とした。この土間空間を仲介して居間に光や熱が送り込まれる仕掛けを作った。
外部空間と内部空間は対峙するものではなく融合するものであると私は考えている。春の新緑の若葉の頃から、秋の色鮮やかな紅葉の頃までの緑の移り変わりから、一面が白一色になる冬の景観まで、1年中変化するその魅力的な外部空間をいかに住宅の中に取り込むかを課題とし、外部と内部が連続的に変化しながら空間を構成していく事で、北海道らしいのびやかで、ここちよい健康的な空間を実現させたい。その方法としてここでは内部と外部をつなぐ中間領域として外部的な内部空間である土間を設けた。
住空間はうわべだけの厚化粧ではなく、素材そのものが持っている表情で構成したい。本物の素材が持っている暖かさやあじわいに勝る物はない。たとえそれが三等材やはね材や普段隠れてしまう構造材であってもである。本物の表情とローコストを実現するため、思い切って一般の構造材を現し、そのままインテリアの表情とした。ハード的な性能が格段に飛躍した今、100%以上の性能を求めることだけにコストをかけるより、その一部を「のびやかさ」「ここちよさ」といったような感覚的な性能を求めることに割り当てたい。その事によって少しの性能低下があったとしても十分それ以上の見返りはあるはずである。 |