計画は敷地選びから始まった。当初から北海道の大自然の中の広大な土地を理想とし、最終的に市街地のはずれに造成中だった牧草地や防風林が隣接する自然を多く残す住宅地に土地をもとめた。
敷地は85坪と比較的広めの大きさながら、高山植物を育てコレクションするのが趣味のご主人の希望により、ロックガーデンとなる外部空間の面積を可能な限り確保することが設計条件となった。
ローコストと確保する条件を合わせて考え出した答えは、1層が7.2m×7.2mのグリットを3層積み上げた直方体とすることだった。層どうしの相互の閉鎖性を無くすために、レベル差を持たせて3層に構成した住宅は平面的にも断面的にも連続性を持たせオープンな空間とし、視線が通ることによって広さを確保することができた。2階居間にある南側の大きな開口は冬の太陽光を室内に取り込み、床のコンクリートスラブに蓄熱させ、床暖房システムの効果をさらに高めて快適な室内空間をつくりだしている。1階を鉄筋コンクリート造の外断熱構造、2、3階は木造外断熱構造とし、構造体のコンクリートは打放し仕上、木造の梁、柱さらにはその外側にある構造用合板も仕上材として現した。ローコストを実現するための試みが素材そのものの表情を生かした内部空間となった住宅である。
「住宅建築」2000年10月号掲載 |