まったく同じ条件の敷地は存在しないと私は考えています。それは画一的な住宅分譲地においても同じです。周りの建物がどんな配置になるのか、方位はどうなのか、周囲の景観はどうなのか、などその敷地のもっている条件がすべて同じになるということはないのです。敷地も条件も、そこに住む人も違えば当然住宅のプランもそれぞれ違ってきます。当初お話があって基本プランをつくっていた敷地が都合により変更になり設計をやり直しました。今回も敷地を初めて見た時に、この敷地・環境でしか成立しないであろう一つの解のイメージが漠然と浮かんできました。(最初に敷地を見た時にだいたいの構想が浮かんできます。)敷地は東西に細長く南側の建物の壁がそそり立つようにあり、1階の空間には冬に太陽の光がさす事はないように思われました。そのため、居間に吹抜けをつくり高窓から光を取込むことを考えました。高窓からは真冬でも燦々と光が入り室内を暖めてくれます。
北海道では高気密・高断熱住宅が一般的になりつつあり、住宅のハード的な部分は確立しつつあります。冬期間の室内環境はすこぶる快適です。しかしながらどうしても今までの高断熱の性能を求める流れから内部と外部の関係は薄く、内部が外部に対して閉鎖的なことも事実でしょう。外部へ開き、自然を楽しむ仕掛けが少ないのです。
外部空間と内部空間は対峙するものではなく融合するものだと考えています。
のびやかで、健康的で、ここちよい空間を実現させたいものです。
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