敷地を見た時に、その敷地・環境でしか成立しないであろう一つのイメージが漠然と浮かぶものである。今回もそうだった。
敷地は、アパートやマンションが立ち並ぶ古くからの住宅地にある。間口8.1m、奥行き13.6m、北側が4m道路に面しているほかは、南側と西側に高さ10m程の建物の壁が境界線近く立っており東側も住宅がぎりぎりに迫っていた。通常の南側に庭を配置して光を屋内に取込むやり方では、冬の太陽高度が低いために明るく気持ちの良い庭は取れそうにもなかった。そこで南側にもボリュームを作り、東側のライトコートに面して各部屋を配置した。ライトコートはプライバシーを保ちながら、正午までは光を屋内に直接入れ、午後からは居間と対峙する下見板の壁に光をあて、表情の変化を楽しむことをねらいとしている。
北海道では、今までの高断熱も性能を求める流れから、外部にたいして閉鎖的になりやすい。その中で自然をいかに室内空間に取込むかが私のテーマの一つとなっている。内部と外部の関係、またそれを繋ぐ半戸外空間をどのように組み立てるかということである。都市に建つこの住宅においては、外部と内部が連続的に変化しながら繋がっていき、周辺に対して閉じていながら、自然には開放した構成となっている。
住み手が自宅を建てる際に、なにかしら自分の手を加えることでより住宅に愛情を持てると考えている。この住宅の場合は、アプローチの枕木とクラッシュレンガは建主自身による施工である。
「住宅建築」1997年8月号掲載 |