住宅地の中でも外部の広がりがあり、春の新緑の頃から、秋の色鮮やかな紅葉の頃までの緑の移り変わり、そして一面が白一色になる冬の景観まで一年中変化するその魅力的な外部空間が存在する。それをいかに住宅の中に取り込むかを課題とし、大きなガラススクリーンを設け、外部と内部を連続させた空間を構成したことで、北海道らしいのびやかで、心地よい空間が実現できた。
希望されたそれぞれの空間の面積の中で、個室は最小限の広さを確保しながら、パブリックな性格の空間の広がりを求めた。それぞれの空間は、機能分離は明確にしながらも、視線が通ることによって実質的な床面積より空間的広がりを持つ事ができる。吹抜けによって空間同士がつながっていたり、ガラスを隔てて外部空間をもその広がりの要素とし、視線が途切れない空間構成とした。
暖房方式は、蓄熱体である1階床のコンクリートスラブをセントラルヒーティングの床暖房として、温水を循環させ室内サーモによって制御し、快適で健康的な室内環境をつくりだしている。冬でも太陽光が入る日中は設定温度室温が高くなりスイッチが切れた状態となる。そして太陽光が床面を暖めて熱を蓄えるのである。大きな開口部際の床はタイルとし蓄熱性と放熱性を高め、ガラス面からのコールドドラフトをやわらげている。また、コンクリートスラブに直接ヒーティングパイプを打込み、低コストを実現させている。
外部空間を取り込んだのびやかな室内空間を持つ住宅となった。 |